久しぶりに、時事ネタを1つ。
最近、就職活動で課される「Webテスト」を代わりに受験するという、「代行業者」の人間が逮捕されるということがあった。
「Webテスト」は、文字通りインターネット上から受験できるテストであり、自宅のパソコンから気軽に受験することができる。
大学受験や、資格試験等と異なり、試験監督などはいないため、はっきり言ってしまえば「カンニングがし放題」の状態となってしまっている。
そのような状況下で、少しでも就活を有利に進めたいと思った学生たちは、受験を「代行業者」に依頼するという手に出た。
「代行業者」は、金銭やそれに相当する利益を得る代わりに、学生になりすましてテストを受験し、その合格を後押しするのである。
Webテストに合格できれば、書類選考や面接等に進むことができるので、学生はお金を払ってでも、代行業者に依頼してしまうのである。
では、このようなことが起きたのは、いったい誰に原因があるのか。
巷では、代行業者をしている人間や、業者に依頼する学生たちが悪いという意見が多かった。
しかし、実際には違うように思う。
問題なのは、「不正行為が起こり得る」ことが分かっていながら、Webテストという問題だらけの試験を放置する、「企業の側」だろう。
「Webテスト」という試験は、その性質上「カンニングし放題」の試験である。それは火を見るよりも明らかで、大企業に属する人間ならば、一瞬で分かるはずのことだ。
それに、SNS(Twitterなど)を見れば、Webテストを代行する業者が多数現れていることや、受験者が自分だけの力で試験をしているわけではないことは、すぐに分かるはずである。
それにもかかわらず、問題だらけのWebテストという試験を改めず、ただ放置しているだけでは、学生が代行業者に頼ってしまうのも無理はない。
昨今の日本では、「底辺への競争」が起きている。
格差社会が進み、底辺に落ちることへの恐怖感も増しつつある昨今において、就活を突破することは至上命題となってきている。
就活を突破することだけに意識を集中した学生たちは、試験を友達に解かせたり、挙句の果てには代行業者に依頼したりと、「モラルハザード」が発生している。
誰にも頼らず、自分の力だけで解いている学生が、不利な状況に追い込まれているのだ。
ただ、こんな状況を創り出した原因は、学生たち自身ではなく、問題が山積する就活制度を改善しようとしない企業、そして、深刻な格差社会にメスを入れようとしない国にあると言って良い。
公正公平な選考を進めていくためには、代行業者を駆逐するだけでは意味がない。企業側が自らその問題点を認識し、それを少しずつ改めていくことが必要ではないだろうか。