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地方公務員と副業:地域との距離縮める効果期待!

時事問題から考える

青森県弘前市では、地元のリンゴ農家の手伝いをする場合に限り副業(アルバイト)を解禁することになったそうで、専用のアプリを使って職員と農家をつなげることができる仕組みも導入するとしています。

なお、リンゴ農家での副業は好きなだけできるというわけではなく、「1週間で8時間以下」とするなど、いくつか条件が課せられています。

弘前市は青森県の日本海側に位置している自治体で、青森県内では青森市、八戸市に次ぐ3番目の規模を持つ地域として知られています。

そんな弘前市でこのような施策が行われるということで、今回はどのような波及効果が期待できるかを考えてみました。

まず地方公務員というのは、正規職員であれば地域に問わず待遇が良いです。東北地方のような仕事が少なく、最低賃金が低い地域であれば、公務員よりも多くの給料をもらっている人は少数でしょう。

したがって、市の職員の方は経済的には豊かな人が多いでしょうから、副業をする必要性は少ないように思えます。

しかし、記事によるとリンゴ農家での副業を希望している職員は、事前調査を受けた職員の中で17%ほどいたようです。

つまり、結構な数の職員が副業をやってみたいと感じているようです。一体、何故なのでしょうか?

私の考えでは、職員の方は副業を通じて、地元に根付く農業という産業について理解を深めたり、副業を通じて地元の方との交流を深めたいと考えているのではないでしょうか。

公務員というポジションは問題を起こさなければ解雇される心配がほぼない、安定したポジションですが、だからといって身近な仕事ばかりしているだけで良いというわけでもないように思います。

職員は地元の方を相手にする仕事をし、なおかつ給料は税金から捻出されているわけですから、地元から信頼されることは必要不可欠です。

先ほど述べたように、地方公務員は他の職業と比べると待遇が良い場合がほとんどなので、地元の方の中には公務員に対して敵対意識を持っていたり、公務員は唯我独尊だと感じている人もいらっしゃいます。

このような傾向は日本国内で所得格差が増大しているここ20~30年でより強まっていると感じます。このままいけば、公務員は完全に四面楚歌の状態に陥ってしまい、行政が担う活動に賛同してくれる方がほとんどいなくなってしまうことも有り得なくはありません。

ここで、副業の重要性が出てきます。

副業を通して、地元を代表する産業である農業とはどのような産業なのか、そして現場では何が行われているのかを自分の目で体験する。職員は農業が抱える問題点や改善すべきポイントを見つけられるかもしれませんし、農家は職員が仕事をする様子を見ることで職員も「一人の労働者」であることに気付くかもしれません。

副業というと、収入源が増えるため経済的な利点だけが強調されがちですが、私はこのような利点もあると思います。

弘前市を皮切りに全国で公務員の副業解禁が進んでいけば、公務員と地元住民との関わりがより深まり、地域をより良いものにするための施策を生み出すことにもつながっていくのではないでしょうか。

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