昨日、小田急電鉄が、小田急線全区間で小児運賃(ICカード)を一律50円にすると発表しました。
子どもの運賃をダイレクトに安くすることで、沿線の子育て世代を応援したいとのこと。
これに対してインターネット上では、称賛の声が相次いでいるようです。私自身も、この試みは面白いと思いますし、企業のプロモーションにもなる有効な施策だと感じます。
ただ、私が思うのは、小田急を含むほとんどの大手私鉄各社やJRが放置している問題が、ひた隠しにされていないだろうかということですね。
その問題というのは、鉄道の「障害者割引」。現状、障害者割引の対象になるのは身体障害者・知的障害者のみ、精神・発達障害者は対象外という会社が多いのです。
JR6社、そして西鉄を除く全ての大手私鉄は、障害者割引の対象者を身体・知的障害者だけに限定しています。
精神・発達障害者が障害者割引を利用できないことに、明確な根拠はありません。どの会社も、「精神・発達障害者は~だから、障害者割引を導入しない」という説明をしていないのです。
おそらく、JRが国鉄であった1980年代頃には「精神障害者保健福祉手帳」という手帳がなく、当然ながら割引制度もなかったため、「国鉄時代にはなかったから導入しない」というスタンスをJRが取り続けているのだと思います。
大手私鉄各社もJRに倣っていますから、「JRが割引制度を導入しないなら、うちも導入しない」といった具合で、障害者割引制度の精神・発達障害者への拡充を行っていません。
政府は鉄道会社に対して、何度も障害者割引を精神・発達障害者にも拡充するよう要請していますが、鉄道各社(特にJR)は聞く耳を持ちません。
「精神障害者保健福祉手帳では本人確認ができないから不正が横行する」と言ったり、「国が補助金を出してくれないなら割引はしない」と言ったりと、何とかして割引を導入せずに済む理由を考えています。
つまり、JRが重い腰を上げない限りは大手私鉄も動くことはないだろうというのが私の考えなので、小田急を責めてもしょうがないとは思います。
ただ、もし小田急が首都圏の鉄道会社で一番早く、精神・発達障害者にも障害者割引を導入する!と言ったら、私は小田急を物凄く魅力的な会社だと思うでしょう。
まあ、もしそんなことがあれば、世の中の人たちは「体が不自由じゃないんだから割引なんて要らん」「運賃を安くしたら、電車に乗る精神障害者が増えるだろうが」と非難轟々かもしれませんが、果たしてどうなるでしょうか。
私もJRや大手私鉄は大好きなので、ぜひ各社には障害者割引の拡充をしてほしいですし、しないのであれば、それを説明する合理的な理由が欲しい所です。
「手帳じゃ本人確認ができない」や「補助金がないと無理」ではいささか合理性に欠くと思いますが、どうお考えでしょうか。