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「労働市場の流動化」よりも・・・

時事問題から考える

最近、「45歳定年制」というワードが話題になっているようです。この単語に絡めて、リスキリング(学び直し)が必要だと書かれている記事を目にすることも増えてきました。

まあ、つまりはかつてのような終身雇用制ではなく、色々な企業や組織に移りながらスキルを高めていくことが必要だということで、「労働市場の流動化」を進めたいということなのでしょう。

このような言説を見て私がいつも思うのは、結局のところ「大学→大企業」というレールを歩いてこれた人たちの視点からしか物事が論じられていないということ。

そりゃ、現代は企業に就職するだけであとは安泰という時代ではないのは分かる。経営や事業を取り巻く環境が日々変わっていくから、常に色々なことを学んでいかないとダメ、というのも分かる。

でも、じゃあ「大学を卒業して、大企業に就職する」というレールを歩んでこれなかった人たちは、どうすれば良いんだろう?

仕事にありつけていない人はそもそもスキル自体がないわけだし、収入がない中で学ぶことも難しい。新卒カードがなくては企業で1から仕事を学ぶことはできない。以前と比べて中途採用は増えたといっても、一定の経験やスキルがない人は門前払い。これじゃいつまでたってもキャリアを作ることはできません。

労働市場の流動化を進めることよりも、レールから外れた人たちのキャリアや生活をどうするかという点を議論することが必要なのではないでしょうか。

例えば大学卒業時、景気が悪かったことで就職が上手くいかなかったいわゆる「氷河期世代」の人たちはその典型。彼らの多くはすでに40代になっているわけですが、今後高齢者となっていく彼らのキャリアや、はたまた老後の社会保障をどうしていくのかといった議論は少なく、「臭い物に蓋」状態になっているというのが実情でしょう。

これから社会に出ていく優秀な人たちがより活躍し、企業に貢献できる仕組みを作るのも重要ですが、それだけでなく、レールから外れた人たちにも目を向けることが先決なのではないかと思った次第です。

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