2021年6月25日、2020年実施された国勢調査によって明らかになった人口速報集計データが公表されました。このデータを使い、前回調査(2015年)と比較して、人口がどう変化したかを見ていきたいと思います。
日本の総人口は1億2622万6568人で、前回調査から約86万人減少しました。因みに、これまで日本は世界でトップ10に入る人口を有していましたが、これをもって第11位に後退することが確実となりました。
都道府県ごとに、人口増減を可視化
政府より公開されている人口速報集計データと、「白地図ぬりぬり」を用いて、都道府県別の人口増減数を可視化してみました。
上図は、47都道府県の人口が2015年-2020年の5年間でどれだけ増加/減少したかを示しています。凡例は以下の通りです。
赤色:人口が(2015年調査と比べ)10万人以上減少 青色:人口が5万人~10万人減少
緑色:人口が~5万人減少 黄色:人口が増加
人口が増加した県は、東京、埼玉、千葉、神奈川、愛知、滋賀、大阪、福岡、沖縄の9都府県でした。
特に首都圏の人口増加は著しく、東京都では54万9424人、埼玉県では8万302人、神奈川県では11万4198人人口が増加しました。「関東の2番手」的ポジションを確保している神奈川県の人口は920万人を超えており、この増加ペースが続けば10年以内に県人口が1000万人を超えることでしょう。
2015年~2020年の5年間でより一層首都圏への一極集中が進んだと考えることができます。しかし、昨年から続く新型コロナウイルス感染症の影響でで地方移住が以前より活発になってきているため、今後に期待したいところです。
人口が減少した県の中で際立ってその数字が大きいのは、北海道(15万2848人減)、新潟県(10万1906人減)、福島県(7万9841人減)などです。
地図を見ても、北海道と東北地方+新潟県で人口減少が著しいことが一目瞭然です。当該地域は首都圏への交通の便が良いばかりでなく、急速な高齢化、過酷な気候(低温、豪雪など)といった人口流出につながる要素が揃っており、状況は年々悪化しています。
西日本では北海道や東北地方ほど人口が減少している県は少ないですが、近畿地方では神戸や姫路といった大都市を有する兵庫県で人口が減少(6万5616人減)しているほか、大阪府の人口増加数もそれほど多くはない(3054人増)など、首都一極集中の悪影響を大きく受けていることが伺えます。九州を代表する県福岡県では人口が増加(3万7335人増)していますが、九州各県から人口を吸収する形で人口増を達成しているのではないかと推測されます。
1つ面白いと感じた点は、滋賀県で人口が増加(1332人増)していることです。自治体別に見てみると、草津市(6711人増)、大津市(4229人増)、守山市(3412人増)、栗東市(2130人増)など、京都市に近く、交通の便が良いエリアの人気が高くなっているようです。新型コロナウイルス感染症の影響で、大都市圏から少し離れたエリアに移住するという流れも生まれ始めているので、今後似たような例が日本のあちこちで観測されるかもしれません。
おまけ:人口が増えた都府県と、その増加数
都道府県名 | 人口増加数 |
東京都 | 54万9424人 |
神奈川県 | 11万4198人 |
埼玉県 | 8万302人 |
千葉県 | 6万4368人 |
愛知県 | 6万3064人 |
福岡県 | 3万7335人 |
沖縄県 | 3万4844人 |
大阪府 | 3054人 |
滋賀県 | 1332人 |