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短期アルバイトを探していた頃の話

北海道・札幌

昨年冬から今年の春にかけて、郵便局でアルバイトをしていた。
このアルバイトをするようになったのは、「とりあえず働くということを体験してみたかった」から。
というのも、昨年はほとんど働くことをせず、北海道各地を旅行するなどして過ごしていて、
旅費で合計50万円を使い、さらに生活費もかかり、私の貯金はかなり少なくなっていた。

かといって、いきなり正社員の仕事をしようとは思えなかったし、きっと不採用になるだろう。
学生時代のバイト経験もほぼない私は、とりあえずアルバイトから始めることにした。
とはいえ、長期のアルバイトはしたくはない。

短期アルバイト、もしくは働きに出る日を自由に選べる登録制の仕事を探すことにした。

登録制アルバイトに挑戦

まずはインターネットで登録制のアルバイトを探す。
札幌市中心部にある某ショップがヒットしたので、さっそく応募し、面接。

当時は10月下旬(2022年)。小雨の降る夕暮れのすすきのを歩き、店の入るビルへと向かう。
札幌という地域は首都圏と比べて、若者の少ないエリアであるが、それでもすすきのは繁華街というだけあって若者でごった返している。
東京の渋谷が大嫌いで、首都圏在住時代の5年間で1度しか行かなかったほど、若者で賑わう界隈が苦手だ。
その騒がしい雰囲気に飲まれかけ、「これからしょっちゅうここに通うのか・・」と複雑な気分になっていた。

面接の時間になるまで、ビル内の適当な場所で暇をつぶす。
すぐそこには若者たちが楽しそうに話している。一方で、もうアラサーになるというのに碌に仕事もせず、交友関係も皆無な自分。
その対比は、客観的に見れば絶望を誘うものだが、当時の自分は不思議と何とも思っていなかった。

面接時間になり、店内に入るが、どこに行ったらよいかよく分からなかったので、とりあえずレジにいた店員に声をかける。

その店員によって面接場所へと誘導され、店のバックヤードに通された。
色々なモノがごちゃ混ぜで置かれていて、何か恐怖すら感じるレベルだ。
そしてすぐにその店の店長が現れ、面接が始まる。

まともに面接を受けるのは久々だったので、何気に緊張していた。
ところが、面接と言っても、ただ登録制バイトの説明を受け、書類に必要事項を記入するというだけの内容だったので、少し拍子抜けした。

その店長は、別の店員に「猫の手も借りたい」的なことを話していたので、きっと仕事はたくさんあるだろうと思っていた。

しかし、登録をした後も一向に仕事は来ず、あっという間に1か月が経過した。

残念ながらこの登録制バイトでは働けないようなので、また別のバイトを探すことに。

短期アルバイトを探す⇒面接

短期アルバイト、そして私のような能力の乏しい人間でもできそうなバイトと言えば、「郵便局の仕分けバイト」が有名だ。
ちょうど11月で、年末年始も近い時期だったから、バイトの求人はすぐにヒットした。

今回は登録制のバイトでなく、週5で通わなければならないので少し不安だったが、勢いで応募した。

応募からすぐにメールが来て、面接日時が決定した。
そして当日。路線バスで郵便局までやってきたが、今回も面接会場の場所が分からない。

仕方がないので、郵便窓口の人に聞いたら、職員用の入口に行くよう言われた。これは初見では分からないだろう。

郵便局の裏にある職員用通用口に行き、インターホンを鳴らす。
するとすぐに職員の声が聞こえてきたので、「面接で来た〇〇と申します」と返答する。
そしたら通用口の鍵が解かれたようで、自動ドアがウィーンと開いた。

ドアは開いているが、入っても良いのかよく分からなかったので、改めて「入っても大丈夫ですか?」と聞く。
すると、当たり前だろと言わんばかりに素っ気ない返事が返ってきたので、少し雲行きが怪しくなってきたと思いながら、郵便局へと入った。

局内に入ると、すぐに面接担当の人が出迎えてくれて、面接会場へと入った。
割と広々とした部屋に、面接官は2人
1人は現場の方で、後に私が配属された部署の部長だった。もう1人はあまり覚えていないが、おそらく総務課の方だったような気がする。
短期バイトにしては本格的な面接という雰囲気だ。

面接の質問内容はあまり覚えていないが、現場の方は話しやすいような感じの人で、印象は良かった。
もう1人の方は若干取っつきにくい感じだったが、圧迫面接などはなく、スムーズに面接は進行した。

とはいえ、私は有名大卒にもかかわらず新卒で就職せず、しかも卒業とほぼ同時に本州から札幌に移り住んで一人暮らしをしている人間。
そんな人間が新卒採用や配達員などではなく、給料の安い短期アルバイトに応募しているというのは少し違和感を持たれたようで、
「〇〇大卒というのは本当ですか?」とか「給料安いですけど大丈夫ですかね?」といった質問もあった。

給料面に関しては、正直言って大丈夫ではなかった。(1か月で稼げる金額よりも、生活費の方が多い)
とはいえ、当時の自分がすぐにでもできる仕事というとこれくらいしかなかったので、別の仕事を当たるということは出来なかった。

面接は30分ちょっとで終了。
手ごたえはまずまずという具合で、そそくさと局を後にした。
それから約1週間後。ちょうど北海道の中標津町周辺を旅行していて、ホテルに戻るために路線バスに乗っているときのことだった。

面接合格の連絡

突然携帯電話に着信があり、見てみると北海道からの着信だった。
もしかしたら郵便局かもしれないと思ったが、バスの車内だったので出ることはできなかった。

ホテルの最寄りバス停に到着し、改めて確認してみると、やはり郵便局からの電話だった。
しかしその時、突然「バイトとかしなくて良くないか?」という悪魔の囁きが聞こえ始めた。

今まで、嫌なことから逃げてきた人生。今(2022年当時の話)も仕事をせず、旅行をして適当に過ごしている。
確かに、逃げてしまえば楽だし、バイト1人が逃げたところで局も大して気にしないだろう。

とはいえ、短期バイトも務まらない人間が、いったい何ができると言うのか。
とりあえずやってみて万が一上手くいかなかったら、途中で辞めればいいやと思い、折り返しで局に電話をかける。

電話は面接に合格したという内容と、研修の日程についての連絡だった。
新卒の就活と同様、合格の際は電話で連絡してくるようだ。
なお、不合格の場合は、郵送で結果が告知されるらしい。

電話の終わった後の自分は、「これから働くのか・・」という不安な気持ちもあったが、短期バイトとはいえ、面接に合格できたのは良かったという安堵感もあった。

新卒就活をしていた頃は、色々な企業の面接を経験したが、1社を除いて全て1次面接落ち
もしかしたら自分は、面接を突破することなんてないんじゃないかと思うまでになっていた。

それに加えて、当時は旅行による浪費で貯金が少なくなっており、経済的にも苦しくなりつつあった。
もしこの面接に受からなかったら、もう地元に帰るしかないと薄々考えていたので、短期バイトのおかげで一人暮らしを延長できることも決まった。

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